冬場のエアコン工事は、夏とはまったく別物の難しさがあります。特に真空引きは「外気温が低い」というだけで作業精度が下がり、普段なら問題なく仕上がる作業でも、気づかないうちにミスを誘発します。真空引きは冷媒配管内の空気・水分を確実に除去するための重要な工程ですが、この時期は気温の影響でゲージの数値が安定しなかったり、真空ポンプの性能が落ちたり、持続試験で数値が戻るなどの現象が多発します。
ここでは、冬に多い失敗と、それを回避するためのコツを、エアコン業者としてのリアルな視点でまとめていきます。
――――――――――
冬場に起こりやすい真空引きのミス①:ゲージの数値が安定しない
冬場は外気温が低いため、配管内の空気や水分が冷やされ、真空状態にしてもゲージの数値がなかなか落ちません。さらに、冷えた配管は内部の水分が固まりやすく、気化しにくい状態になります。その結果、ポンプを20分以上回しても−1.0MPaまで落ちなかったり、落ちても安定しないという症状がよく起こります。
現場では「真空が引けているようで、実際は水分が残ったまま」という危険な状態になりやすく、そのまま作業を進めると後々のガス漏れや性能低下につながることがあります。冬の真空引きでは、この数値の不安定さが一番多いミスの原因になります。
――――――――――
冬場に起こりやすい真空引きのミス②:真空ポンプのオイルが冷えて性能が低下する
真空ポンプのオイルは温度によって粘度が変わります。気温が低い状態ではオイルが固くなり、内部での循環が悪くなって吸引力が落ちてしまいます。夏には数分で引ける真空が、冬になると倍以上の時間がかかることも珍しくありません。
さらに、劣化したオイルを冬場にそのまま使うと、粘度の低下が顕著でポンプの力が足りず、全く数値が落ちない場面もあります。オイル管理が甘いほど、冬場の真空引きはトラブルが増えるというのが現場のリアルです。
――――――――――
冬場に起こりやすい真空引きのミス③:配管内に水分が残ったまま施工してしまう
外気温の低い時期は、配管を外に置いてあるだけで内部が結露しやすくなります。結露した水分は冬場だと蒸発しにくく、真空引き中に除去しきれないことがあります。
このまま施工してしまうと、配管内に残った水分が凍結し、冷媒の流れを妨げたり、圧力変化によるトラブルを起こす原因になります。水分が原因のトラブルは再工事の確率が高く、特に冬の現場では注意が必要です。
――――――――――
冬場に起こりやすい真空引きのミス④:持続試験で数値が戻る
冬は気温差で配管内の空気が収縮しやすく、見かけ上の真空が「引けているように見える」状態になることがあります。
しかしポンプを止めると一気に数値が戻り、微細な漏れや水分残りが発覚する。これは冬に特有の現象で、持続試験が甘い業者ほど、この時期はトラブルを引きやすくなります。
冬の現場こそ、持続試験に十分な時間を確保することが欠かせません。
――――――――――
正しい施工のコツ①:真空ポンプは事前に温めておく
外気温が低い日は、真空ポンプを車内で温めた状態で持ち出すだけで性能が段違いになります。
さらに現場到着後すぐに使用せず、少し回してオイルを温めてから本格的に真空引きを始めると、吸引力が安定しやすくなります。冬場は「ポンプを温める」というひと手間が、仕上がりの確実さに大きく影響します。
――――――――――
正しい施工のコツ②:配管もできる限り温度を上げる工夫をする
寒い外に置いてあった配管は内部が冷え切っています。そのまま真空引きを行うより、室内に少し置いて配管温度を上げてから作業すると、内部の水分が蒸発しやすくなり、真空状態が安定します。
新築や設備更新の現場では、配管全体が冷え切っていることが多いため、少しでも温度を戻す工夫をすることで、冬場の施工精度は驚くほど変わります。
――――――――――
正しい施工のコツ③:真空引き時間は“冬仕様”で長めに確保する
夏と同じ感覚で10〜15分で終えてしまうと、冬は水分の気化が追いつかず、内部に残留したままになってしまいます。外気温が低い時期は、最低でも20分以上、配管の長さや太さによっては30分以上引くことも必要です。
これは単なる“長めの作業”ではなく、冬に必要な正しい施工手順のひとつです。
――――――――――
正しい施工のコツ④:持続試験をしっかり行う
ポンプを止めた後の針の動きをじっくり確認することが、冬場の真空引きを成功させるポイントです。
気温差による数値の戻りを見逃さないために、静置時間を長めに取り、針が戻るかどうかを確実に確認することで、微細な漏れや水分残りのリスクを防止できます。
冬の現場はどうしても時間がかかりますが、そのぶん完成度を高めることができる時期でもあります。
――――――――――
正しい施工のコツ⑤:真空ゲージの状態を常に最新にしておく
寒い時期はゲージの誤差が大きくなりやすく、劣化したゲージを使うと数値が読みにくく、判断を誤ってしまう危険があります。
冬こそ、校正されたゲージや信頼性の高いマニホールドを使うことが、確実な真空引きにつながります。
――――――――――
まとめ:冬の真空引きは“丁寧さが収益に変わる季節”
外気温が低い時期の真空引きは、夏以上に気を使う作業です。数値が安定しない、時間がかかる、持続試験で戻るなど、冬特有の問題が多く発生します。しかし、こうした条件の悪い時期こそ、丁寧な施工がきちんと評価され、信頼につながり、結果的に仕事量や単価アップを実現できるチャンスでもあります。
冬場に確実な真空引きをできる業者さんは、お客様からも元請けからも確実に信頼されます。技術力をアピールしたい人、仕事量を増やしたい人にとって、冬は実力を見せる最高の季節です。
日本エアコンサービスのブログを最後まで読んで頂き有難うございます。
エアコンは季節物の商品なので若干の繁忙期や閑散期はありますが閑散期でも仕事量を増やす方法は沢山ございます。
弊社では閑散期に仕事量を増やすノウハウを皆様に惜しみなくお伝えし、協力業者様と共に売上や収益を伸ばしていけるようお互いが努力することで常にWinWinな関係が築けるように日々努力しております。
当社ではエアコン工事協力業者様を募集しております。
また、他にも少しでもご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
TEL:052-799-4449
MAIL:info@japan-ac-service.co.jp



