エアコン工事の中でも、設置環境によって一歩間違えると大きなクレームや再施工の原因になるのが「室外機の二段置き」工事です。特に住宅密集地やマンション、テラスハウスなどでは設置スペースが限られており、上下に室外機を重ねる「二段置き金具」を使った施工が求められることが多くなっています。しかし、この工事は“ただ置くだけ”では済まされません。振動、騒音、重量バランス、雨水処理、排熱環境…気をつけるべきポイントは数多く存在します。
今回は、実際に現場で起こりがちなトラブルや、それを未然に防ぐための具体的な施工ポイントについて、少し踏み込んで解説していきます。
設置場所の選定でミスると全てが狂う
まず最初に押さえておくべきは「設置場所の選定」です。これがズレていると、いくら施工が丁寧でも、最終的にトラブルの原因になります。二段置きの金具は、地面に対して水平にしっかり固定することが大前提ですが、現場によってはコンクリート面が傾いていたり、排水マスの近くで湿気が多かったりすることもあります。そういった環境では、経年劣化で金具が歪み、上段の室外機の重量が偏って下段へ干渉するという最悪のケースも考えられます。
また、前面の空間が確保されていない場所に設置すると、排熱不良で室外機の故障や冷暖房能力の低下を招く可能性があります。よって、風の流れ、メンテナンスのしやすさ、排水の流れを意識して、長期的に安定稼働できる設置場所を見極めることが最重要です。
二段置き金具は「強度」と「防錆性」が命
意外と見落とされがちなのが、使用する金具そのものの品質です。特に量販店案件などで施工コストがシビアな現場では、コスト重視で安価な金具を使ってしまうこともありますが、これは非常にリスクの高い判断です。
二段置きは、上下の室外機の重量が1か所に集中するため、金具のたわみやボルトのゆるみが後々の振動や騒音トラブルにつながります。さらに、屋外に設置される以上、雨風にさらされることは避けられません。そのため、最低でも溶融亜鉛メッキ仕上げ、できればステンレス製の高耐久金具を選定すべきです。
また、アンカーボルトでしっかりと基礎に固定し、水平器でしっかりと水平を取ったうえで取り付けることで、重量バランスを保ちつつ長期間の使用に耐える構造に仕上げることができます。
室外機の設置は「バランス」と「振動抑制」がカギ
実際に室外機を設置する段階でも注意が必要です。特に上段の室外機は、風や振動によって揺れやすく、共振による騒音の原因になります。これを防ぐためには、防振ゴムの使用や、四隅のボルトの締め付けトルクを均一にするなど、細かな調整が非常に重要です。
また、機種によっては排気の向きや風量が違うため、上下に設置する室外機同士の排気が干渉しない配置を意識する必要があります。上段の排熱がそのまま下段の吸気に入ってしまうと、冷房効率が大幅に下がり、結果としてお客様から「効きが悪い」「うるさい」といったクレームにつながってしまいます。
室外機は機械であると同時に、お客様にとっては“騒音源”でもあります。だからこそ、できるだけ建物やフェンスから距離を取り、周囲への配慮を忘れない設置が、プロとしての腕の見せどころだと感じます。
配管・ドレンの施工が命取りになるケースも
室外機の二段置き工事では、冷媒管とドレンホースの取り回しも難易度が上がります。特に上下の段差があると、勾配の確保が甘くなりがちで、気が付けばドレンの水が逆流したり、凍結による破裂を引き起こしたりすることも。
また、見た目を重視するあまり、無理な曲げやパイプの潰れを起こしてしまうと、冷媒の流れが悪くなり、最悪の場合は冷媒漏れや機器故障につながることもあります。だからこそ、配管の取り回しは「見た目よりも機能重視」で、必要な場合は延長用の配管や断熱材を惜しまず使うことが求められます。
そしてもうひとつ。ドレンホースは必ず抜け止めをして固定し、上段からの水が下段へ直接落ちないように配慮することも重要です。下段の室外機に水が直接当たると、サビや故障の原因になりますし、下の階に住む方からのクレームにも発展しかねません。
メンテナンス性を考慮した設置は信頼につながる
最後に強調しておきたいのが、メンテナンス性の確保です。工事を行う時点では問題がなくても、数年後に「ガスが足りない」「ファンから異音がする」「ドレン詰まり」といった対応依頼が来た際、室外機に手が届かない位置に設置してあると、それだけで作業が難航します。
特に上段の室外機は脚立や仮設足場が必要になることもあり、再施工時の工賃が高騰しがちです。だからこそ、未来の自分や他の施工者のためにも、点検スペースや開閉口をしっかり確保しておく配慮が必要です。
この“先を読む力”は、目には見えませんが確実に評価される部分です。「あの業者さんは、ちゃんと考えてくれてたな」と思われる工事こそが、次の仕事につながると信じています。
まとめ
エアコンの室外機を二段置きにする工事は、見た目以上に気をつけるポイントが多く、施工ミスが後のトラブルにつながりやすいデリケートな作業です。設置場所の選定から金具の選定、室外機の配置、配管・ドレンの処理、そして将来のメンテナンスまで、すべてにおいて「ひと手間かける」ことが結果的に信頼につながります。
もし今、施工のやり方に不安がある、あるいはトラブルを減らしたいと考えている方がいれば、ぜひこの内容を参考に、もう一度自分の施工を見直してみてください。ちょっとした意識の変化が、大きな信頼と次の仕事へとつながっていきます。
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